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【研究成果】免疫応答を制御する分子の新たな机能を示唆する立体构造を解明
概要
鸟取大学工学部付属グリーン?サスティナブル?ケミストリー研究センターの佐藤裕介讲师、李彦君 (博士课程)、京都大学理学研究科の深井周也教授、尾胜圭助教らの研究グループは、免疫応答の制御に関わるタンパク质「TAB2」が、细胞内机能を制御する因子である「K6结合型ユビキチン锁」と结合した状态の立体构造决定に成功しました。
细胞内にたくさん存在するユビキチン(※1)というタンパク质は、いくつもつながる事でユビキチン锁を形成し、さまざまな役割を果たします。ユビキチン锁を形成する际のユビキチン同士のつながり方は8种类あって、ユビキチンのどの部分を使ってつながるのかによってユビキチン锁の机能は异なります(※2)。これまでに、K63でつながったユビキチン锁とTAB2というタンパク质が结合することで细胞内にシグナルが伝わり、狈贵-κ叠という転写因子が核内へと移动することで、免疫応答に関わる遗伝子が活性化することがわかっていました(※3)。一方、最近の研究によって、TAB2がK63だけなくK6でつながったユビキチン锁とも結合するという事が発見されました。しかし、K6でつながったユビキチン锁の细胞内での机能はいまだ良くわかっていない点が多く、また、TAB2とK6でつながったユビキチン锁との結合様式も不明でした。
今回、佐藤裕介讲师らは、TAB2とK6でつながったユビキチン锁が结合した状态の立体构造を决定することで、TAB2がどのようにK6でつながったユビキチン锁を认识して结合しているかを明らかにしました。本研究は、免疫応答制御机构を解明する今后の研究に役立つ知见になると期待されます。
今回の成果は2021年8月17日に米国の科学雑誌『Biophysical Journal』に掲载されました。研究背景
酵母からヒトまで、真核生物の细胞内には76个のアミノ酸がつながってできた小さなタンパク质であるユビキチンが、细胞内の様々な机能を制御しています(図1)。このユビキチンは他のタンパク质に结合することで働きます。この际、単独のユビキチンとしても働きますが、ユビキチンがいくつもつながってできるユビキチン锁も、さまざまな细胞机能を制御するための标识として働きます。ユビキチン锁は、ユビキチンのC末端のグリシンと、他のユビキチンのN末端メチオニン(M1)、もしくは7つあるリジン残基(K6、K11、K27、K29、K33、K48、K63)が共有结合することで形成されます(図1)。このとき、ユビキチンのどの残基を使ってユビキチン锁が形成されるのかによって、その机能と构造が异なることがわかっています。たとえば、外部からの感染のシグナルが伝わると、细胞内にK63でつながったユビキチン锁が合成されます。TAB2というタンパク质はK63でつながったユビキチン锁を特异的に认识することで、さらに细胞内へとシグナルを伝达させ、最终的に免疫応答制御に関与する遗伝子を活性化させます。TAB2がK63でつながったユビキチン锁とどのように結合するのかは私達の研究グループの解析によって既に解明されていましたが、最近になってTAB2はK6でつながったユビキチン锁とも結合することが発見されました。しかし、K6でつながったユビキチン锁の机能はまだ未解明な部分が多く、K6でつながったユビキチン锁が免疫応答制御に関与するという报告はないため、TAB2とK6でつながったユビキチン锁が结合することの意义はわかっていません。また、TAB2がどのようにK6でつながったユビキチン锁を认识するのかも明らかにされていませんでした。
研究内容?成果
佐藤裕介讲师らは、TAB2とK6でつながったユビキチン锁とが結合した状態の結晶を作製し、その立体構造を決定しました(図2)。今回作製したユビキチン鎖はユビキチンを2つつなげたものですが、C末端G76で他のユビキチンと结合している方を远位のユビキチン、结合されている方を近位のユビキチンと呼びます。TAB2はK6でつながったユビキチン锁の远位と近位の2つのユビキチンと同时に结合していました。さらに、私达の研究グループによって既に解明されていたTAB2がK63でつながったユビキチン锁と結合している状態の構造と比較すると、遠位のユビキチンC末端领域を除き、おどろくほど2つの构造は似ている事がわかりました。この结果から、TAB2がユビキチン锁と强く结合するためには、ユビキチン锁の隣り合う2つのユビキチンがTAB2の决まった位置に同时に结合する必要がある、ということがわかりました。また、K6でつながったユビキチン锁と、K63でつながったユビキチン锁が、同じ构造を取る事ができる理由は、远位のユビキチンのC末端领域が非常に柔软であるためであるという事もわかりました。特定のユビキチン锁のみと结合する分子は、1种类のユビキチン锁のみと结合する事がほとんどですが、TAB2はK6、K63という2种类のつながり方のユビキチン锁とも结合する珍しい机能を持ちます。本研究で解明した立体构造から、远位のユビキチンの柔软なC末端の构造が、2种类のユビキチン锁との结合に重要な役割を持つという事が明らかになりました。&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;
今后の展望
ユビキチン锁は様々な种类があり、それぞれが异なる机能を有することがわかっていますが、K6でつながったユビキチン锁の役割などは未解明な点が多く残されています。本研究の成果により、免疫応答制御に関与するTAB2がK6でつながったユビキチン锁とどのように結合しているのかというメカニズムが明らかにされました。今後、K6でつながったユビキチン锁は细胞内でどのような机能を有しているのか?免疫応答制御に関与しているのかどうか?関与しているとしたら、どのように関与しているのか?といった疑问の解明に役立つと期待されます。
参考図

図1 ユビキチン鎖のモデル。ユビキチンのリジン(K)やN末端のメチオニン(M1)に、次のユビキチンのC末端グリシン(G76)が结合することでユビキチン锁が作られる。ユビキチン同士がどのアミノ酸を用いてつながるかによって、ユビキチン锁の机能と构造は大きく异なる。この図では、8种类のユビキチン锁のうちK48、K63、K6でつながったユビキチン锁を例に挙げて説明した。

図2 TAB2とK6でつながったユビキチン锁とが結合した状態の構造(左)。私達の研究グループによってすでに構造解析されていた、TAB2とK63でつながったユビキチン锁とが結合した状態の構造も比較のため示した(右)。2つの構造は、遠位のユビキチンのC末端領域のみが異なることがわかる。
原论文情报
论文タイトル:Structural basis for specific recognition of K6-linked polyubiquitin chains by the TAB2 NZF domain
着者:Li Yanjun, Kei Okatsu, Shuya Fukai, and Yusuke Sato
DOI番号:10.1016/j.bpj.2021.06.037
用语解説
※1 ユビキチン
76个のアミノ酸からなる小さなタンパク质で、C末端のグリシンが标的のタンパク质のリジン残基と结合することで、様々な生体反応の目印となる。
※2 ユビキチン锁
复数のユビキチンがつながった状态。ユビキチンに存在するN末端メチオニン(M1)、もしくは7つあるリジン残基(K6、K11、K27、K29、K33、K48、K63)に他のユビキチンがつながっていくことで形成される。どのリジン残基を使ってユビキチン锁を形成するかによって、8种类のユビキチン锁が存在し、そのつながり方によって机能と构造が大きく异なる。
※3 狈贵-κ叠(エヌエフ?カッパー?ビー)
さまざまな遗伝子の転写を活性化するタンパク质。细胞がストレスやサイトカインなどの刺激を受けると、细胞质の様々なタンパク质にユビキチン锁やリン酸が付加されることでシグナルが伝达される。この结果、狈贵-κ叠は核内へと移动して免疫応答などに関する様々な遗伝子の転写を活性化する。